異色作アンリミテッドサガはどんなゲームか

アンリミテッドサガ

サガシリーズの中でも異色な作風のアンリミテッドサガ。このページでは、アンリミテッドサガがどんなゲームなのか、他のサガシリーズとどう違うのかを書いていきます。

概要

PS2で発売されたサガシリーズの一作。

好き嫌いの評価が分かれる本作ですが、著者は好きです。独特のシステム、サガらしい難易度で誰でも気軽に楽しめる作品とは言い難いですが、やり込む余地は大きく、ハマる人はどこまででも深くプレイすることができそうな懐の深さがあります。噛めば噛むほど味がでる、スルメゲーとは言い得て妙。

但し、独特過ぎるシステム故にその面白さを感じる前にまともにプレイできずに諦める人が多かったこともまた事実。

良いところ

・音楽

浜渦氏による美しいBGMはゲームにばっちり合ってます。サガのBGMといえばイトケン氏の印象が強いですが、サガフロ2や本作の浜渦氏も素晴らしい曲を提供してくれま。バトルでは盛り上がる曲、町では落ち着く曲と、冒険を彩ってくれます。最高です。サントラが品切れによりプレミア化して価格が高騰、筆者は中古でそこそこの値段を払いました。その後2011年にリクエストにより再版されています。

・グラフィック

町やダンジョンの移動は簡素も簡素で好き嫌いが分かれるでしょう。ダンジョンマップはすごろくのようにキャラを一歩一歩移動させていくスタイル。町は一枚絵の背景にキャラのイラストが表示されるタイプです。戦闘のグラフィックは非常に美しいです。ただし、ぬるぬる動くアニメではないので注意。なお、本作のキャラデザインは直良さんという方が担当されています。シリーズにおなじみの小林智美氏は解体真書の中でイラストを見ることができるのみ。この点もファンの意見は分かれるところかもしれません。私はアンサガをプレイして直良さんのイラストが好きになりました。

・世界観

各主人公の冒険はそれぞれの視点で進みますが、その背景にイスカンダールの英雄伝説や七大脅威と呼ばれるダンジョン、魔女アリスアンブローシアと、多くは語られないものの、魅力的な設定がちりばめられています。シナリオもサガらしくセリフは少ないものの魅力的です。

・バトル

サガらしく、容赦なく強い敵や育成のコツを掴めないと苦戦必至のボス戦など飽きない難易度です。リールは賛否分かれます。好きな技を使えないのは正直イマイチ。ただ、1ターンに5回の行動回数があり、仲間のうち誰をどの順で何回行動させるか選べるのは非常に面白いです。

この仕様により、行動させるキャラを絞って他の味方を温存するとか、発動順が遅い術を一人目に持ってきて、(敵の攻撃を受けるものの)味方の4連携を安定させられるなど様々な工夫が可能です。

また、行動を選ぶときに次のキャラと連携させるかどうかを選べます。ホールドボタンで次のキャラに繋げる。連携させるかどうかをプレイヤーが決められるのです。これは結構面白い仕様です。

じゃあ全部連携させれば威力上がってお得じゃんと、何でもかんでも連携させようものなら、敵がこちらの連携に入り込んで大ダメージを当ててきたりします。このあたりのバランスが面白いです。

・オープニング

ゲームを起動して放置していると流れるオープニングデモは楽曲と映像が素晴らしく、わくわく感を駆り立てられます。見たことがない方はここだけでも見てもらいたいところ。

・理解すればするほど面白くなる成長システム、武具の改造

発売当時は攻略サイトも充実していなかったので攻略本の存在がプレイヤーの拠り所でした。別売りの取扱説明書と呼ばれる解体真書の有無で評価は大きく変わるでしょう。読めば読むほど「そうだったのか、それならこうしてみよう」とアンサガの世界を探索するまさにガイドブックの役割を果たしてくれました。キャラ毎の能力資質、五行の資質、それらとスキルパネルとの関係、パネルの配置によるラインボーナス、配置する位置により能力への影響が異なるパネルの数々…どのキャラをどのような活かし方をするか壁キャラにするのか、攻撃力重視にするか、はたまた探索に便利な罠解除などの要員にするか、とにかく考えることがいっぱいあって楽しい。武具はダマスカス製のものを作るために町を巡って素材を買い集めて改造、改造…と計画的に進めていくのが癖になります。

評価が分かれるところ

・基本操作の説明不足

別売りの説明書と揶揄される攻略本「解体真書」の有無で評価は大きく変わるかと。今ではネットに攻略情報があるので、補完は可能でしょうが、発売当時はあまりの不親切さにクソゲー扱いされ新品価格は暴落していきました。マップでの移動や待機による回復は、基本中の基本であるにもかかわらず説明不足でプレイヤーを苦しめました。

マップでの移動は十字キーではなく「左ステックを長く傾ける」。その場で待機してHP回復するには、L3ボタン(左スティックを押し込む)です。

・何をするにもまずリール(スロットのようなもの)が回る

戦闘中に技を使うのにリールが回り、狙った位置に止めないと高威力の技は発動しません。マップ上で罠にかかればリール。〇を引けば回避。×ならダメージ食らったりします。

宝箱を開けるのもリール。しかも罠付きならまず罠を解除しなければならない。解除のためリールを回し、×で爆発の罠だったら中身ごと宝箱は消滅します。罠を解除しても鍵がかかっていたら鍵の解除にまたリール。

ともかくリールを回すゲームなので、その辺の運要素が嫌になる人は向かないでしょう。一応スキルレベルの高いパネルをつければ当たりのマスが増えるので緩和可能です。

・独特過ぎる成長システム

一般のRPGとは異なり、レベルの概念がない、戦闘ごとに成長する、技は戦闘中に「閃いて」覚える、など独自色の強いサガですが、本作の成長システムは輪をかけて独特です。まず、HPはシナリオクリア時にしか成長しません。また、もう一つの成長要素であるスキルパネルもシナリオクリア時にしかもらえません。このスキルパネルも曲者で、適当に配置してもイマイチ強くなりません。加えて、多くのシナリオには行動回数の制限があり、初見ではタイムアップとなることもそこそこあるのですが、タイムアップになるとHPは成長せずスキルパネルももらえず町へ帰還させられます。特に、長めのターン数が設定されているダンジョンでは、タイムアップでHPとスキルパネルが成長しないと徒労感が強いです。慣れてくると、この仕様を逆手にとってお金稼ぎややり込みに使えるのですが、右も左もわからない初見プレイヤーには辛いと思います。

・装備や術の仕様にくせがある

武器には耐久力があり、耐久力の分だけ攻撃できる仕様です。装備にはそれぞれアビリティがあり、戦闘を重ねると隠されたアビリティが引き出されていきます。耐久力を回復させる主な手段は、武器の改造で他の武器や素材と合成することなのですが、合成するとたまに「・・・まあ、こんなもんだろう。」と失敗されます。失敗するとせっかく引き出したアビリティが減ったりします。武器のアビリティは使える技に直結するので重要なのですが、メイン武器のよく使うアビリティが減ったときはがっくりきます。リセット&ロードすればよいのですが、耐久力回復するときは大抵何度か連続して改造を行うので手間には違いありません。また、武器種毎に素材の向き不向きがあり、杖なら木材が適している、剣なら鉄がいいとか、繰り返しやっていくとなんとなく「この組み合わせならいいかな」というのが身についてくるのですが、なかなかくせのあるシステムであることは否めません。

術も使いこなすにはプレイヤーの知識が必要となります。

術を使うには魔道版のスキルパネルが必要で、スキルパネルをセットして戦闘をすると魔道版に刻まれた術を少しずつ解読できます。解読のゲージがいっぱいになったら晴れて術を取得。という流れがあるのですが、そもそも魔道版のパネルは特定のイベントや敵のレアドロップくらいしか入手機会がありません。運よく魔道版が手に入っても魔道版にも術の系統とレベルが設定されており、特定の術の魔道版を狙うのは至難の業。さらに、高レベルの魔道版の術ともなれば解読に必要な戦闘回数がやたらと多く、一回の戦闘ではちょびっとずつしか解読のゲージが進みません。以上のことから、「好きなキャラに好きな術を使わせる」のは相当苦労します。魔導士系のキャラは初期から術をいくつか習得しているので、術が使いたい場合はそちらがメインになるでしょう。強力なLP攻撃手段である召雷を初期から取得しているノース、ジョーゼフは非常に役に立ちます。

さらに付け加えるなら、おなじみの合成術もあるのですが、合成術のマスターはアンリミテッドサガにおけるエンドコンテンツと言って過言でないと思います。合成術はベースとなる術を取得した上で、術合成のスキルパネル(激レア)をセットする必要があります。先に述べたように、術の取得難易度がとにかく高いので、それを乗り越えた先にさらに術合成のパネルを引き当てる強運が必要とやり込み対象としてはサガシリーズ屈指の困難さを極めると思います。そして、それだけにやりがいはすさまじくあるともいえるため、術合成の沼にハマるコアなプレイヤーがきっといるんだろうと思います。

対応機種

アンリミテッドサガをプレイするにはPS2しかありません。執筆(2024年9月)時点

リマスターや移植がないためプレイするにはPS2の環境が必要です。

ロード時間を短くして魔道版の仕様を緩和したリマスターが欲しいところ。

どんな人におすすめか

・サガシリーズを全てクリアしたい人。

・浜渦氏の美しい音楽や直良氏のキャラデザが好きな方。

・リールに心が折れない人。

これが初見のサガになるとそのまま離脱してしまうんじゃないかと心配になります。シリーズ経験者でもハードルは高いため、他のサガシリーズをプレイしてから手に取ってみるのをおすすめします。

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