「ぶっちゃけFIRE 手取り25万円で子育てしながら1億円ためる方法教えます」 寺澤伸洋 レビュー

読後の感想、参考になったこと、想定と違ったことなどを書いていきます。
これから読もうという方は参考にどうぞ。

レビュー

良書です。FIREを目指す方は読んで損はないかと。

なお、最初に述べておきますが、タイトルには偽りありです。「手取り25万円で1億ためる方法」は本書を読んでも分かりません。それ前提で読んだ方がストレスがありません。

もちろん一般的なFIREを目指す考え方(支出を減らして収入を増やす、投資をするなど)は示されていますが、それが筆者の資産状況とどうリンクしてお金が増えていったのか見えてきません。
「段階を追って資産が増えていく様子が分かる本」ではなく、FIREとは何かを考え直すきっかけをくれることと、外資系経験者である作者の個人的エピソードを楽しむ要素が強い一冊です。

ちなみに作者は自分のことを普通のサラリーマンかのように振り返ります(タイトルの手取り25万円とあるのも普通感をアピールするように見える)が、どう考えても普通じゃありません。

就職した2社目の日系企業ではイギリスへの語学研修に応募して英語の苦手をなくし、GAFAの一社へ転職、副業でブログを書けば1か月40万PVを達成し、電子書籍の出版と講演でFIRE後の生活をしていく…。と自分のような凡人には馴染みのないエピソードが満載です。かなりの知的エリートで能力が高い作者ですので、そういう方の言葉であることを踏まえて読み進める必要があります。

そのため、本書にある要素を取り入れても資産増加のスピードという面で作者と同じ速度で資産形成はできません。車や家、スマホや毎日のドリンク代、iDeCoやNISA、長期投資の重要性について記載はありますので、凡人にも参考にできる要素はありますが、それらは他の投資本に書いてあることと大差なく、それらの要素が筆者の資産形成にどのように影響していたか知ることはできません。資産額のグラフはあるのでなんとなくの推測はできますが、どの時点でどの要素を取り入れてどの程度影響したのかなどは分かりません。

この本ならではのポイントは、筆者にとってのFIRE哲学が読めるところと、FIRE後の生活について書いてあることです。コラムで他のFIRE達成者の言葉として「FIREとは自身の思考や発想をもとに作り上げたひとつの作品である」とあります。本書はまさに「寺澤氏のFIRE」を知ることができる一冊です。自分が真似できるかは別として。
そういう意味で一つのFIRE達成者の考え方、実感がこもっていて興味深く読めます。

FIRE達成した後の筆者の生活については2章と7章で載ってます。
例えば、「自由を得たら失うのが辛くなる」エピソード。FIRE前なら週2日働くのは苦もないと思っていたところ、いざFIREして週7日全て自由な生活を送った後では毎週2日の仕事が入っているだけで窮屈に感じるようになったと語っています。これは経験しないと分からない感想で、他の本では見かけない点でした。周囲の人に共感は得られなかったそうですが、FIREしないと分からない感覚なのでしょうね。

また、GAFAの一社で外資系企業に勤務できるほどのエリートである筆者ですが、投資面では冴えずにFXで損失出したりするくだりは、なんでこんな頭いい人がそんな失敗するんだろうという驚きがありました。

コラムでFIRE仲間をQRコード付きで紹介したり、タイトルの付け方が商業的な狙いを感じてもやもやしますですが、最後まで読んだ感想としておそらく筆者はとても「いいひと」なんだと思います。
ハイスペックな筆者のFIRE哲学が知りたい方は手にとってみてはいかがでしょうか。
一読の価値はあります。

あと、合間にちょいちょい入っている4コマ漫画が面白くて好きです。

作者の投資スタイル

推奨するのはインデックス投資
ドルコスト平均法で長期、分散投資を勧めています。

ですが、作者自身は投資の知識を身につけるのが遅れてインデックスでの長期投資で1億ためたわけではありません。詳しい経緯が分からないのですが、語られるエピソードはFXで失敗をしたこと、IPOで手堅く利益を出してきたこと、くらいです。「FIRE仲間に聞いてもみんなインデックスを推奨しているし、再現性があるから読者の皆様はインデックスの長期投資で頑張ってくださいと」いうスタンス。

投資で資産を築いたFIRE仲間が、本業+副業で収入を大きくして支出を減らして現金を最大化→そのお金の大半をインデックで運用して資産を築いた、と言っていることを根拠の一つとして述べていますが、ここからも、作者自身がインデックスで資産を築いたわけではないと分かります。

ですので、「読者には再現性の高さからインデックス投資を推奨するものの、自身はそれとは異なる方法で資産1億円を超えた」方で、作者自身の経験した資産運用は再現性が高くないものだとわかります。

NISAとiDeCoもフル活用しているそうですが、どんな銘柄を購入しているか言及はありません。iDeCoとつみたてNISAは銘柄が絞られていることからインデックス投資をしていると思われますが、明記はされていません。NISA枠は個別投資で利用している、という記載がありますので、積み立て枠は使ってない??個別投資でどういった傾向の銘柄に投資しているかも記載はなし。このあたりを詳しく書くと本一冊になるから割愛、という感じになってます。

この省き方からも、この本は作者の資産形成した様子を書いたものではないと分かります。メインはあくまでFIREってどんなもの?という問いと寺澤氏のFIREってどんなもの?という問いに答えるものです。

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